MERCEDES R231 (SL63AMG)

 

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R231型 SL63AMG

6.3LNAエンジンからツインTBエンジンへ時代が変化してきており、M157エンジン車を初めて開発します。マフラーメーカーとしては少し遅かったと思いますが、その分力を込めて深く開発していきます。
まずは車の印象ですが、オープンカーなのに凄いボディ剛性!リフトアップしただけでドアが閉まらなかったUZZ40とは雲泥の差があります。足回りもアクティブサスのためC63よりも乗り心地が良く本当に軽快です。ブレーキの効きも凄まじく、走る、曲がる、止まるを満たしおまけにラグジュアリーの極みで、曇りガラスにマッサージシート、自動ブレーキに自動レーンキープアシスト、バックミラーの四角に車がいるとブザーでお知らせ、ハイビームまで自動照射その他多数。何でもありの超豪華仕様!高速道路では眠気を抑えるのに苦労します。
エンジンは凄くハイパワーなのですが、ターボパンチも無くそれでいてNAの様に高回転は吹けてくれず、中速域で真価を発揮するエンジンのようです。燃費を稼ぐための環境対策でタービンを小さくして低速域で高効率のエンジンを作らなければならない今の時代を反映しているように思います。速いには変わりないのですが残念です。
一番の不満は7速DCT。
シフトタイミングが極めて速く、いつも1,200rpm位。ここからアクセルを踏んでも加速するわけがありません。更に凄いハイギヤード。2,000rpmで135Km/hにもなり加速を犠牲にして燃費を稼いでいます。エコモードならそれでいいのですがパワーモードでもすぐにシフトアップして加速しないのはストレスが掛かります。まさかこの車で常にパドルシフトで乗る人はいませんよね?

 

それではマフラーの開発に取り掛かります。

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まずはノーマルマフラーから。

SLはアンダーボディに補強がありクリアランスが狭いのにギリギリ太いパイプを潰しながら無理やり通してあります。しかしそれでも70φのパイピングを通してありますからさすがAMGです。潰れが酷く効率が悪いので私はこれを全部76φで潰れ無しで通していこうと思います。

AMG車全てに言えることなのですが、エンジン始動時に割れた物凄い音がしますが乗るとまるで無音。リアタイコの中が仕切り板1枚のみであとは空洞ですのでそんな音になってしまっています。割れてうるさいから静かにしてくれ。と持ち込んでくるお客様が大変多いです。これも乗って音が出るように開発していきます。

 

SLのノーマルグレードはフロントからリアエンドまでマフラーが一体なので切断加工が必要ですがAMG車はリアピースがジョイントになっておりますのでボルトオンで装着できます。C63より更に径が太くなっておりさすがツインターボですね。

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非常に狭くてクリアランスが厳しいですが苦労して完成しました。

価格
 ハーフステンレス 217800円(税込)
 オールステンレス 272800円(税込)

なおノーマルグレードSL350,550AMGスポーツパッケージ用マフラーも発売いたします。
SL63及びSL65ディフューザーにマッチングします。

価格
 ハーフステンレス 206800円(税込)
 オールステンレス 250800円(税込)

 

エンジンをかけるとV型独特の低音サウンドが響き、気持ちいいです。これぞベンツのサウンドです。かなりのパワーアップが期待できそうです。
後日パワーチェックをしてまいります。

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次にバルブ付きマフラーを製作します。リアタイコ部分のスペースが狭すぎてタイコ手前で2系統にパイピング出来ません。仕方が無いのでバルブ側は直接パイプを通してタイコを外側上に持っていきます。なんて美しいレイアウトでしょう!これぞバルブ付きマフラーです。私自身惚れ惚れする出来栄えです。写真を見てください。

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価格 ハーフステンレス371800円(税込)
   オールステンレス426800円(税込)

ここでバルブシステムの取り付けを説明いたします。プロのお店さんじゃないと取り付けが出来ませんのでしっかりと整備してくれるベンツのプロショップさんに取り付けをご依頼してください。
電磁ソレノイドバルブを足回り取付けフレームに装着します。配管はエンジンルームから負圧を引いてくる必要があり配管は遮熱処理をしてエンジンルームからキャニスターラインに沿って持ってくると比較的楽です。

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アンダーパネルを全て取り去り配管を引いていきます。

   

SLはオープンカーでトランクルーム内側の内装を取るのが難しい為アンダーボディから電源配線をソレノイドバルブに持っていきます。

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負圧配管をスリーワイで分岐して左右バキュームバルブに取り付けます。

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エンジンルーム内に負圧の取り出し口が無いので(今の車はバキュームセンサーがインテークマニホールドに時下付けになっています)キャニスターラインから違径スリーワイを使って負圧を取ります。しっかりと遮熱処理をしてください。

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後は室内に引き込んだ電源線をACCに繋げば完成です。私はリモコンではなくグローブボックスにスイッチを取り付けました。
本当に大変で苦労しますので取り付け工賃はリモコンタイプで66000円(税込)掛かります。

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そしてエンジン始動。

バルブを閉じるとノーマルよりも静かで開くと直管ですので迫力の音量が響きます。
街乗りでは控えめで乗ってください。
TB大排気量エンジンなので低速トルクの低下も無く伸びのある高回転を実感できます。
これは本当に速いです。マフラー交換は楽しいですね!

最後にフロント、中間部分を製作します。

この部分を交換することによってM157エンジンのポテンシャルを全て引き出せます。
またノーマルが一体構造ですので交換はフロントパイプ、中間タイコ部分を同時に交換する必要があります。

ノーマルのパイプと言ったら本当にひどい潰れ方をしており、これではせっかくのパイプ径が意味ないです。半分以下に潰してあります。

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大きくて外すのが大変でした。

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さてノーマルのタービン出口フランジ径を調べてみます。ここは今までどの車も50φしか無かったため排気効率を殺してしまっていましたが今回は60φ以上あります。
これならば600PS以上の馬力が出せそうです。早速フランジを設計製作して、中間の後ろ部分のジョイントも制作します。全てジースプロジェクトには無い専用サイズでしたので新たに新設計します。しかし一体ベンツのフランジは何種類あるのでしょう?本当に大変です。

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当社最大径の76φ用スポーツ触媒をセットしてフロントパイプを作って行きます。
76φのフロントパイプは迫力がありますね!最低地上高が確保できないのでプレスで少し配管を潰しました。83x66φ位になっていますが全くパワーに影響はないでしょう。
A/Fセンサー及びO2センサーの搭載位置を精密に測定しエンジンチェックランプが付かないようにセットします。

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続いて中間ピースの制作です。オール76φで作って行きます。スペースが狭いので大変です。
しっかりとバイパスパイプを繋ぎ左右の同調を取ります。

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そして完成。凄いマフラーを作ってしまいました。
エンジンを始動した瞬間から明らかに違うパワー感ともなった音。一回り太い低音。
出足から違うトルク感。これは凄くパワーアップしていそうです。本当に速いし、それでいてバルブを閉めるととても静か。理想のマフラーが制作出来ました。
価格は中間ピース塗装タイプ151800円(税込)。オールステンレス195800円(税込)
スポーツ触媒付きフロントパイプ382800円(税込)です。

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最後にどれだけのパワーアップをしているのか確認したいのでパワーチェックを行います。
当たり前なのですが事前にエアクリーナーフィルターを抵抗の少ないアフター品に交換し、コンピューターセッティングを行ってきました。リアピースの交換ならば問題ないかも知れないですがフロントパイプ、触媒交換するならばコンピューターセッティングは必ず行ってください。パワーアップのために空燃比が変わりエンジンを壊しかねません。またノーマルのスピードリミッターもAMGパフォーマンスパッケージでさえも300Km/hに設定されておりますが、この車は5速ギア全開で310Km/hを超えるためパワーを計測できません。
それではいつものように裏モードに入りシャーシーダイナモモードにします。全ての電子制御をキャンセルしてパワーチェックを行います。この車はパワステがキャンセルされませんので移動が楽です。

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まずはノーマルマフラーから。

シャーシーダイナモ上とはいえ310Km/hオーバーは怖いです。
何といきなりの567.6ps! ノーマルのカタログ馬力を上回っています。これはコンピュータ書き換えの効果でしょう。ノーマルコンピューターでは500PS位の馬力だと思います。今後しっかりパワーアップしてくれるのか不安になって来ました。

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続いてリアピース交換。

やっぱり効果絶大の591.6ps! これだけで24psもパワーアップしています。TB車は排気抵抗が少ないマフラーに交換するとパワーアップするというお手本のような効果ですね。

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最後にフルピース交換。この車はフロント、中間部分を同時に交換する必要がある為リアピースの次は全交換になります。
あまりのパワーにキックダウンしてしまいそうで5,000rpmから全開しました。したがってその回転以下は計測数値ではありません。
まさに驚きの652.9ps! なんて凄いパワーアップでしょう。大排気量TBエンジンでブースト圧が0.1〜0.2上がるとこんな数値になるのでしょうね。

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続いてうまくアクセルを踏みきれなかったので何度も計測してみました。
635ps、627ps、639psと熱ダレのためにパワーアップしてくれません。もう限界なのだと分かり終わりにしました。完全にエンジンを冷やせばパワーアップするかもしれませんがもう充分です。

TB車は吸排気チューンで絶大な効果が出るお手本のようなパワーチェックが出来満足しました。しかしこのパワーは危険でもありますので心に余裕をもって安全に運転していただけたら幸いです。

 

最後まで読んでくださり有難うございました。

 

乱筆お許し下さい。

 
株式会社 ジースプロジェクト

代表取締役  澤村 淳

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